8.花と銀の馬車

 どこまでも透き通るかのような青空だった。
 天の頂(いただき)に輝く太陽と、絹のような純白の雲と、やわらかな薫香を含んだ風と、きらきら光る翼をひるがえして飛ぶ鳥たちに彩られた、青の真髄のごとき空だった。
 櫻良は、その晴天の下、祝い事に沸き立つ街を、少しどころでなく緊張した面持ちで見渡していた。
 身じろぎするのも躊躇われるような、ファンタジー映画、ファンタジー漫画などと呼ばれるものの中でも見たことがない、類を見ないほど美しく繊細な馬車の座席に腰かけて。
「……なんか、何度説明されても、なんでこんなことになったんだろ、って思っちゃいそう……」
 深い溜め息とともにぽつりとつぶやき、外を見遣る。
 櫻良が何の気なしに視線を向けるたび、馬車を、彼女を見上げる町の人々に、やわらかな友愛と希望、歓喜の表情が溢れ出る。
 櫻良はぎこちなく笑って手を振った。
 それだけで、人々の顔に喜色が差し、街は喜びの声にさんざめいた。
 子どもたちははしゃいで周囲を走り回り、握り締めた花びらを空へと撒き散らしたし、寄り添って馬車を見送る若い恋人たちは微笑みあいながら櫻良へ手を振り、大人たちは晴れやかな笑顔で手にした旗や花束を振った。
 お年寄りの中には、喜びのあまりなのか、涙ぐんで《女神の灯火》を讃える聖なる印を切る者もいた。日本で言えば、手を合わせて拝む、といったところだろうか。
 ――はっきりいって、ものすごく居たたまれない。
「それほど、お前の訪れが待ち望まれていたということだ」
 お尻がムズムズするような、背中がくすぐったいような、なんともいえない感覚に冷や汗なのか脂汗なのか判然としないものをかいていた――そして、せっかくの衣装が汚れたらどうしよう、などと思っていた――櫻良だったが、隣の座席でものすごい仏頂面をしていたジーンが、律儀にも応えてくれたので、うん、と小さく頷いた。
 ジーンの声を聴くだけで心がスッと落ち着くのは、もう、性(さが)だと言うしかない。
「そういうものなのかなぁ」
「廃棄世界人には難しいことだろう、それらしく振舞えなどと無体は言わんが、彼らの喜びだけは酌(く)んでやってくれ」
「う、うん……」
 今の櫻良にとってジーンの言葉は絶対に均しい。
 ジーンがそう言ってくれるなら、という単純極まりない思考でひとまず冷や汗及び脂汗の生産を停止した櫻良は、ようやく少し落ち着いて、自分や自分の周囲を観察する余裕を持つことが出来た。
 そして、先刻とは別の、感嘆を含んだ溜め息をつく。
「……きれいな乗り物だよね」
 櫻良は、平凡な現代人の常で馬車に乗ったのはもちろん初めてだし、それ以前に本物を目にしたのも生まれて初めてだ。
 だからこの馬車が、馬車としてスタンダードな代物なのかどうかは判らない。ただ、この、馬車というものが恐ろしく美しく、そして乗り心地のよいものなのだということを身をもって知っただけだ。
 静かに進む馬車の外装は、まぶしく輝く白銀で出来ていた。
 細く長く打ち延べた曇りひとつない白銀を、蔦のように精緻に編み、また幾重にも重ね合わせて、乗り手を包み込むような、繊細優美な花篭を髣髴とさせる形状に作ってある。
 窓に位置する部分だけ円形にスペースが空けてあり、その円周をガラスとも宝石ともつかぬ美しい石でぐるりとなぞってあった。
 屋根には良質の絹のヴェールが幾重にも重ねられ、夜明け前を思わせるやわらかな色調を楽しむことが出来、そのうえから大ぶりの色鮮やかな花が撒き散らしてある。上を見上げるたび、櫻良は、夜明け前の空に舞うような、たくさんの花々を目にすることが出来た。
 内装、つまり座席は、やわらかい、光沢のある布で作られていた。
 手芸に興味のない櫻良では、布の種類や名前などはさっぱりだったが、少し服地について詳しい人間なら、それが、絹を用いて織られた天鵞絨(びろうど)、つまり毛足の長いパイル織りであることが判っただろう。
 滑らかな天鵞絨の座席はゆったりと広く、座り心地がよくて、手触りもいい。ハーブのような爽やかないい匂いがするのは、前日に香を焚き染めたからだという。
 ふたり乗りと言い切るにはやや広すぎる感があるが、基本的にはふたりで乗る類いの、一頭ないし二頭引きの馬車であるらしい。
「……これって、銀じゃない、のかな……?」
 シルバーアクセサリをたくさん持っている訳ではないので断言は出来ないものの、銀にしては輝きが美しすぎるような気がした櫻良だったが、そもそも、銀はあまり丈夫ではない金属だと聞いたことがあるから、きっと、櫻良たちの世界で言うところのシルバーではなく、この世界独特の、丈夫で美しい金属なのだろう。
 つぶやきつつ、すべすべとした蔦状の外装を指先でなぞっていると、
「靖白鋼(せいはくこう)という。銀の千倍、白金の十倍稀少な鉱(かね)だ。この馬車は、歴代の《女神の灯火》が披露目の式典に使うものだ」
 やはり機嫌がいいとはとても言えないものの、故郷では聴いたこともないほどに美しい声が、櫻良の疑問に答えてくれる。
 櫻良は、長いすらりとした足を不機嫌そうに組んだジーンの、その出で立ちの美しさに、その隣に座れる自分のあまりの幸運ぶりに卒倒しそうになりつつ、恐る恐る口を開いた。
 何せ、ジーンの不機嫌の理由は櫻良にあるのだ。
「ええと、ジーン、まだ怒ってるの? あの、ごめんね。あたしの隣じゃ嫌だよね。もうホント、こんな服まで着て、自分でも何がなにやらって感じだもん。似合わないのも判ってるんだけど……式典ってそういうものなのかな。でも、多分、今回だけだから、ちょっと我慢してね」
 小さくなった櫻良が言うと、表情少なく、しかし明らかに不機嫌と判る雰囲気を醸し出していた神殿騎士は、何度か瞬きをしてから櫻良を見た。陽光を反射した黄金がきらりと輝き、櫻良の心臓は跳ね上がる。
「……いや」
 ぽつりと漏れた声は驚くほどやわらかい。
「え?」
「相手がお前でなければ、とっくに逃げ出しているところだ」
「えっ」
 ジーンの心臓直撃級の物言いにまたしても失神しかけた櫻良だったが、無意識にタラシめいたことをさらりと言う天然騎士は、櫻良の困惑など気づかぬ様子で、ひどく億劫げに窓の外を見ると、
「恐らく、それを見越してのことなんだろうな。――まったく、神子姫め。華やかな場は好かんと、あれほど言っておいたのにこの仕打ちだ。一体何をさせるつもりやら」
 言って、小さな息を吐いた。
 美しく結い上げられ、宝石の欠片をあちこちに飾られた漆黒の髪が、正午間近の陽光を受けてきらきらと輝く。
「……心配せずとも似合っているぞ、櫻良。これなら歴代の灯火に引けを取らないだろう」
 またしてもさらりと、女殺しと称するのが相応しいだろう、無意識にろくでなしな賛辞の言葉を向けられ、櫻良は首まで真赤になった。
「えっ、そ、そそそそそ、そんなこと……!」
 今日の櫻良は、まさに正装と表現するべき衣装を身にまとっていた。
 純白の、ごてごてとした装飾を一切省いた、シンプルだが流麗なラインの、美しいドレープを描く裾の長いドレスに、同色の、絹で織られたレースのショール、同じレースで作られた手袋。銀糸で花と蝶の刺繍がされた涼しげな靴、白銀にルビーと思しき赤い宝石を合わせた可憐なティアラ、同じデザインのイヤリングとブレスレット。
 胸元には、もちろん、彼女を《女神の灯火》と決定づけた、桃色の光が揺れるランプのようなペンダント。
 この十日間で厳選され、櫻良の身体にあわせてわざわざ作られたそれらは、世の中の適正な価格に疎い櫻良にすら、明らかに恐ろしく高価だと判るほど美しく、着心地も手触りも素晴らしくよかった。
 シンデレラや白雪姫に憧れるほど古風ではないが、綺麗な、美しい服にときめくのは年頃の少女の常で、櫻良は、こんなドレスを着られただけでラッキーだった、などと思っていたが、それが似合うかどうか、相応しいかどうかとなると自信がなかったのだ。
 何せ、この十六年間、平々凡々を地で行く人生を送ってきた櫻良だ。
 悪口を言われるほど醜くはないものの、普通と表現するのが相応しい容姿の、少なくとも姿かたちに関する褒め言葉とは無縁だった彼女が、ごくごく当たり前の、天地の理(ことわり)並に普遍の事実でも口にしているかのように褒められてうろたえたのは当然のことだったが、ジーンの口振りに偽りは感じられなかった。お世辞や慰め、気休めの口調でもなかった。
 かれはかれが事実と思ったことを、ごく普通に、何の躊躇いもなく口にしているだけなのだろう。そして、それが他者に、どんな影響を与えるかを理解していないのだろう。
 かれにそうと褒められて勘違いしない、舞い上がらない女がいたらお目にかかりたい、とすら櫻良は思った。
 ジーンを天然の性悪と称したケーニカの気持ちがよく判る櫻良である。
 彼女も苦労しているに違いない。
「そんなことないよ、ジーンの方が似合ってる」
 ようやく心を落ち着けた櫻良が、上ずりそうになる声を必死で抑えつつ言うと、ジーンは顔をしかめた。
「別に、気を遣う必要はないぞ、櫻良。不相応なことは私自身理解している。何より私は騎士で、武人だ。こんな動きにくい、ひらひらした華美な衣装は好かん」
 無表情が基本のジーンには珍しいほどはっきりした、心底嫌そうな声と表情に、櫻良は思わず笑った。
 それは、世辞でも慰めでも気遣いでもない、櫻良にとっては真実としか言いようのない言葉だったのだが、自分の容姿に頓着及び自覚のないジーンには、まったくもってどうでもいい、興味や認識の埒外の事柄であるらしかった。
 その武骨さ、自分を計算に入れない不器用さは、ジーンという人間の潔さ、美徳のひとつだと櫻良は思う。
 だが、ジーンは確かに美しかった。
 それは万人が認めるだろう。
 今日の櫻良が純白なら、ジーンは漆黒だ。
 ジーンは、日本の振り袖を思わせる、多分にアジア的な長い袖の、滑らかな艶のある美しい黒絹の衣装を身にまとっていた。
 裾は向こう脛の真ん中辺り、両横にスリットが入った様子はチャイナ服も思わせる。振り袖よりも袖口が広く、襟ぐりと前合わせがゆったりと作られたデザインだった。
 袖や裾の下方に、光沢のある絹糸で花と鳥の刺繍がされている。
 その下に、ハイネックのシンプルな黒いシャツを着て、首からは大粒のサファイアを使った繊細なペンダント(これもどうやら、装飾品を嫌がる本人を無視して神子姫が無理やり見立てたものらしい)が下がっている。更に、シャツと同じ色のズボンを履いているので、アジアンとヨーロピアンの混合といった印象だった。
 引き締まった腰には、和風というより古代中国の武将がしたような、美しいのと同時に腹部の防御にもなるような硬質的なベルトが巻かれていて、その上に、幅の狭い色とりどりの帯が重ねられている。
 腰にはもちろん、いつも持ち歩いている剣、日本刀を思わせるつくりのそれの姿があるし、足元を固めるのは、銀の留め金と漆黒の革で作られた、明らかに戦闘用の硬質的なブーツだ。式典用の正装とは言っても、譲れない部分は決して譲らなかったのだろう。
 こちらもまた、恐ろしく高価そうな、素晴らしく材料費と手間がかかっていると判る、流麗で美しい衣装だった。
 そのすべてが、ジーンの美貌にぴたりと合い、かれを引き立てていたが、本人は自分の出で立ちになど何の興味も頓着もない様子だった。
 それどころか、着替えの最中、こんな恰好をさせる神子姫に、本気で呪いの言葉すら吐いていたものだ。
 何故なら、外部からの襲撃に備えて都市の外で護衛の任に当たるはずだったジーンは、神子姫フォウミナの鶴の一声、「灯火をエスコートする騎士は必要よね」という絶対的な下知によって、他の誰かにやらせろという本人の意志を一切無視された状態で、櫻良とともに神殿に向かい、式典に参加する『騎士』の役目を押し付けられたのだ。
 三日ほど前、ケーニカからそれを聞かされた瞬間、幸せのあまり鼻血を吹きかけ、また意識を失いかけた櫻良だが、他の仕事を取り上げられた挙げ句強制された方はたまったものではなかっただろう。
 それでもジーンがその役目を放棄することなく、今こうして彼女の隣にいてくれるのは、恐らく、廃棄世界という異世界から来た、不慣れな櫻良を気遣ってくれたからだ。
 櫻良の不安が和らぐならば、と、エスコート役を引き受けてくれたのだ。
 櫻良はそれを、得がたい幸運と感じる。
 ――馬車はよどみなく進み、一般階級の平民たちが住まう区域を抜け、徐々にまちの中央、神殿へと近づいていた。
【もうじき着くぞ、あと少し、愛敬でも振り撒いておれ】
 不意に前方からかかった声が示すとおり、馬車を引いているのは、なんと、馬型の夜歌である。
 陽気でお祭り好きな神獣は、真珠色の角と首に美しい花を飾られた姿で、意気揚々と――馬車の重みなど一切感じていないような、軽やかな足取りで歩んでいた。漆黒の鬣(たてがみ)が軽やかに踊る様は、彼の内心を表現しているかのようだった。
 楽しげな夜歌の姿を見ているだけで、櫻良の唇にも笑みが浮かんでくる。
「そんなものを振り撒くためにいるわけじゃない」
 ジーンの言葉はにべもなく、斬り捨てるかのようだったが、
【民の喜びを酌むもまた神殿騎士の務めであろうが。顔面の筋肉を駆使して励むがよい。幸い見てくれはよいのだからな】
 こちらを振り返すことなく返す夜歌が、それに動じる様子はなかった。
 夜歌の物言いにジーンがまた溜め息をつく。
「私は神殿騎士だ、無論民の喜びは酌むが、それは私の顔がどうこうなる理由にはならん。大体にして、急に私がにこやかになったら、間違いなく神子姫やケーニカに病を疑われるぞ」
 ジーンが言うと、夜歌が唸る声が聞こえてきた。
【むう、それは否定できぬな。正直なところ、吾も愛想のよいそなたなぞ気味が悪くてたまらぬ。……櫻良もそうは思わぬか?】
「えええっ、あ、あたし!? いや、えーと、その、だ、大丈夫だよジーンなら。うん、多分」
「……櫻良、無理やり助け舟を入れなくていい」
【むしろ入れられた方が切ないな】
「う、え、ご……ごめ……」
「お前が振っておいて何だその言い草は。櫻良もそんな変態神獣の言葉に耳を傾ける必要はないぞ、謝る必要は更にない。自分から馬車馬役を買って出ておきながら、前夜の打ち合わせをすっぽかして女とどこぞへしけこむような好き者は軽蔑してやれ」
「って、え、ええと……?」
【吾を無責任な享楽主義者と一緒にするでないわ、失敬な。打ち合わせなど、吾がおらずとも何とでもなろうが。美しい女子と閨をともにすることで英気を養い、万全を期そうという崇高な心構えが理解できぬとは、なんとも嘆かわしいことだ。そう思うであろう、嬢】
「へ、あ、う……うん……?」
「そこで櫻良に同意を求めるなというんだ。困っているだろうが。一緒にするなも何も、そのものじゃないか」
【……そなたとは一度、腹を割って話す必要がありそうだな……?】
「不要だ。一切要らん。こんなくだらない話題で腹など割りたくない。――ん、どうした、櫻良?」
 これから厳かな式典に臨むとはとても思えない、微妙で愉快な舌戦に、櫻良は思わず吹き出していた。
 夜歌と一緒にいるときのジーンは、驚くほどよく喋るし、表情を動かす。
 夜歌のペースに巻き込まれて喋らされている、というのが正しいのだが、それはどこか現実味を欠いたかれの美貌に別の魅力を添えたし、子どもっぽさを含んだその口調や表情は、何より親しみが持てた。
 櫻良が、今までの緊張や周囲から感じる重圧を忘れてくすくす笑っていると、夜歌がわずかに首を捻じ曲げてこちらを向き、彼と顔を見合わせたジーンが軽く肩をすくめた。
「この変態神獣と一緒にされて笑われたのは非常に心外だが、それで櫻良の緊張がほぐれたのなら、まぁ、いい」
【そこな朴念仁の思惑に乗るは不本意だが、嬢に楽しんでもらえるならそれも悪くはあるまい】
「肩肘を張る必要はないぞ、櫻良。彼らは、――私を含めたこの都市の住民は、お前の訪れを歓迎し、皆でその喜びを分かち合いたいだけで、お前を困らせようとも、苦しめようとも思ってはいないのだから」
【そういうことだ。今日は吾らにとっても嬢にとっても忘れ難き日となろう、不安で萎縮したままの心では楽しめまい?】
「うん……そうだね。せっかくの機会だから、楽しまなくちゃ損だもんね。ありがと、ふたりとも」
 ひとりと一頭に、交互に温かい、優しい言葉をかけられて、ずいぶん気持ちがほぐれた櫻良はにっこり笑って頷いた。
「ケーニカが、あとで美味しいごはんが出るって言ってたし。豪華なデザートも出るって言ってたし。うん、あたし、頑張るっ」
 ぐっと拳を握った櫻良が、姫君めいた出で立ちには似合わぬガッツポーズを取ると、ジーンがかすかに笑った。
「……それでいい。その方が、お前らしい」
 ひどく穏やかな声に、櫻良はまた赤くなる。
 そこに含まれる、紛れもない好意を感じ取ったからだ。
 ――それが色恋という意味合いを含まずとも、ジーンが自分に好感情を向けてくれることそのものが、櫻良にとっては絶対的な喜びだ。
「う、うん」
 照れ隠しのように視線を前方へ移すと、桃天華大神殿と呼ばれる、この都市の中心部たる場所、巨大で荘厳で美麗な建物が近づいてくるのが見えた。
 建物の向こう側には、薄紅色のヴェールを思わせる灯が、高い塔の天辺で輝き、揺らめいている。
 何度見ても幻想的な、美しい光景だった。
「さあ、では行こうか、《女神の灯火》。お前の存在を都市(まち)に、世界に知らしめよう」
 ジーンの、淡々とした――しかしどこか楽しげな声に頷きつつ、青の真髄のごとき空を見上げた櫻良は、今日の成功を誰にともなく祈った。